Resource Center : ポジショニング(Positioning)
リソースセンターではシニアエクゼクティブとその候補生を対象に、イノベーションと顧客価値創造に関連するマネージメント手法や理論を短時間で学習できるような情報を提供します。私たちの専門は新規事業開発などのイノベーションコンサルティングですが、伝統的な左脳思考も事前の分析等では重視するためここでは既存のフレームワークも多く紹介しています。
7. ポジショニング(Positioning)
ポジショニングの起源
ポジショニングとは製品、ブランド、または企業そのものを人々に認知させるマーケティング手法のことです。1961年にジャック・トラウトとアル・ライズが、このポジショニングというコンセプトを広めました。彼らの言葉を借りると、「ポジショニングとは製品そのもの対して行うことではなく、見込み客の心(マインド)の中に対して行うこと、すなわち、製品を見込み客の心の中に位置づけること」と言えます。
要するに見込み客の頭の中で、競合相手よりも優位な地位を奪い取る、いわば“脳の陣取り合戦”と言ったほうがわかりやすいかもしれません。
現在、マーケティングでポジショニングといえば、標的市場において、競合他社と識別可能な製品、ブランド、企業のイメージを創り出すテクニックを指しています。
ポジショニングの定義
「標的市場セグメントにおいて、自社の製品やサービスの位置づけを競合他社と差別化し、相対的に優位な立場を構築すること」と定義されます。
重要なことは、購入してもらおうとする見込み客に対して、数ある競合他社製品との関係の中で、自社製品をどのように位置づけてもらいたいかを決定することです。また、製品の位置づけが、見込み客にとり購買意欲を高めるものでなければ意味がありません。成功しているポジショニング戦略を見ると、その企業独自の競争優位に根付いたものであると言えます。
ポジショニングの種類
一般にポジショニングは、企業、事業、製品の各レベルで考えることができます。また、代表的な製品ポジショニングを考えた場合、大きく次の3つに区分されます。
1.機能によるポジショニング
2.イメージによるポジショニング
3.経験(知覚・認識)によるポジショニング
ポジショニングの実践
第1段階:自社製品のポジショニングを決定
競合製品を特定し、自社製品の差別化ポイント(価格、機能、デザイン、等)を明確にします。差別化する属性(ポジショニングの軸)を定めたら、市場調査を通じて、自社製品の現在の位置づけを確認します。そして、自社製品が今後ターゲットとする位置づけを決定します。
ここでのポイントは次の3つです。
1.差別化ポイントは自社の強みを強調(高機能、低コスト、など)
2.標的市場での購買決定に最も影響する属性(ポジショニングの軸)の組合せを決定
3.自社製品の最適な位置づけを選択
第2段階:ポジショニング・マップを作成
図1に示すポジショニング・マップを描くことで、競合他社と自社製品の相違点および類似点を明確にすることができます。独立した2つの評価属性(ポジショニングの軸)を選び、他社製品との相対的な自社製品の優位性を表現します。
横軸に「弱い渋み⇔強い渋み」、縦軸に「弱い香り⇔強い香り」、自社と競合他社との関係(ダージリン紅茶、セイロン紅茶、キーマン紅茶、等)
第3段階:自社製品のポジショニングを実現
ポジショニング・マップにて自社製品がターゲットとすべき位置づけを決定した後は、その実現に向けたマーケティング戦略を策定します。
製品そのものは、ポジショニング決定時に決めた属性を持っていますので、その属性に見合った価格、流通チャネル、販売促進方法を考えていくことになります。